大地のきずな No. 80
2002年1月1日発行 全文を読まれる方はPDFをご覧ください(約4MB)。
内容
- 2002年・年頭のご挨拶:食の安全・農の存続は、国民経済の自立性の上に成り立つ…会長 宮村 光重
- 韓国「食と農」の旅~ソウル・テグ・プサン~:韓国を斜めに探って
- 小研究会活動報告
- 農業・農村から拓く21世紀の展望―第23回 夏の現地学習交流集会の報告
- 小さな情報
- 【滝澤先生のひとくち栄養学22】朝食にビーフステーキ?
韓国「食と農」の旅~ソウル・テグ・プサン~
韓国を斜めに探って
2001年の生消研『食と農』視察は、11月16~20日韓国のソウルとテグと釜山を巡って、韓国の農業問題・食料問題・資源再利用の実践を各所に訪ね見聞して無事帰国しました。視察団24人で、生協、農協、生産者、流通団体を初め、研究者、個人で構成され (1)食の関連ではソウル市内の南大門と釜山のチャガルチ市場 (2)農業食糧関連では嶺南大学校訪問 趙先生に統計で見る韓国農業、韓日の農業比較の講義、韓牛の生産現場視察 (3)高層住宅で取り組む家庭生ゴミ分別の成功から行政と連携が広がる生ゴミの飼料化、堆肥化工場など訪問、韓国の食糧・農業の現状を学んできました。
欲しい物は何でも揃う巨大なファミリーマーケット
●ソウル南大門市場
南大門市場は約700平方メートルの敷地に小さな店がびっしり。ソウルの中心部に近いこともあって、地元家族ずれのショッピングとしても有名です。小さな市場で出回っていない珍しい物や、格安の品を探しにやってくるのだそうです。私たち旅行者にとっては、ありがたい場所です。その広さと迷路には驚きです。すべての生活用品が山ほど有り商業者から素人の買い物客まで対象にしての販売は凄い。たくさんの屋台が狭い道に様々な食べ物を並べ呼び込みも元気です。朝、昼、晩と食べても食べきれない程の料理の種類があるとガイドさんの話しです。食材も豊富で2~3日じっくりと散策したい魅力のある市場で、そこで触れる庶民のエネルギーを肌で感じます。
●釜山チャガルチ市場
漁港をバックに南大門市場に負けない市場です。旺盛な釜山庶民の胃袋を満たすジャンボな胃袋という表現でしょうか。働く人々もエネルギシュなパワーと明るさに溢れていました。魚の種類は多く、アワビ、タコ、カニ類、エビ類の価格の安さには驚きです。朝早い時は料理屋の仕入れや仲買人でごった返しているようです。同時に一般の方たちの買い物もすごい量を買っています。注文に応じて処理をするおばちゃん達の包丁さばきが印象的でした。釜山はさすが港町、そこに暮らす人々の生活には魚があり、週3~4日以上食卓にのせているそうです。
韓国の訪問はほんの入り口に立っただけですが、みんな活気があって親しみのある雰囲気に好感をもって帰ってきました。歴史と近代化が混在した韓国の顔、もう一度、「くらし」と農業食料問題で訪問したいと考えています。
感想:ワッ、韓国に行ける!!
会員 北村 佳代子
今春以来、私は韓国へ行きたいと思い続けていました。一つは、東都生協組合員の平和活動として、新しい歴史教科書をつくる会の教科書検定合格と日本政府の見解、国内外からの様々な批判や動き、そして教育委員会の教科書採択権限問題などに取り組み、仲間の人たちと近現代史を学び直していたからです。もう一つは、テレビのNHK特集で見たパプリカ、ミニトマト、茄子、キュウリなどを日本に輸出する韓国企業の施設農業の凄まじさに驚いたからです。その徹底した日本市場調査ぶり、鮮度・品質保持や価格と韓国政府のその援助などうなってしまいました。これらをもっと知りたいと思っていたのです。ですから今回の視察研修で得たものは大きく、その上、本場のキムチや韓国料理も楽しめ、大満足でした。
●日本と同じ、そして違い
緯度からいえばかなり寒いと思いきや、晴天に恵まれ暖かい日々でした。目に映る山々は日本で日頃見慣れた姿形ですが、杉はあまり見かけず、ましてや植林された杉山は皆無です。松が多く“韓国産松茸”に一人納得。
ソウルから高速道路を南下したのですが、刈り入れの済んだ田が広がっていました。耕地面積の六割強、農家収入の四割を占める米ですが、実は90年代前半まで自給できず、政府の奨励で97年に初めて自給率100%台になったとのこと。しかし、WTO体制の下、来年からは日本と同様減反政策を取らざるを得なくなるという。米だけではなく、農畜産物の輸入自由化の拡大で、専業が67%余という農家経済を圧迫しています。丁度WTO閣僚会議が終わり、その結果から危機感を強めた「韓国農民会総聯盟」は、私たちとの交流を中止し政府交渉に臨むというほどでした。アメリカとの関係が政治・軍事・経済に強く影響を及ぼすのは日本と同様のようですが、嶺南大学校の趙錫辰教授の「アメリカの世界戦略、WTOに対し、『哲学』を持ち、日韓が協同歩調をとり、中国の加盟もアジアとしての力としていくべきだ」というお話に、一同大きく頷きました。こうした状況の中でも大邸近郊で訪れた韓牛生産者は、価格変動に右往左往せず、自分の信念で牛を育て発展させていきたいと、後継ぎの息子さんを横に語っていたのが印象的でした。
長時間のバス移動でしたが、その窓から見える高麗人参の日除け棚が連なる斜面や、畑一面の赤唐辛子は、いかにも“韓国”。
●生ゴミリサイクル
韓国で驚いたのは、15階20階という高層の住宅群です。しかも人口の集中している大都市だけではなく、田や畑の広がる中にもあり、韓国の人たちの生活の変化を象徴しているように思えました。
釜山は韓国第二の大都市で、人口400万人・110万世帯です。ゴミ問題は深刻でしょう。その釜山市で8年前からゴミの分別とEMぼかしによる生ゴミの肥料・飼料化に取り組んできた裵命晶さんのお話を伺い、処理・施設や畑も案内して頂きました。ご自身も暮らす616世帯2000人のアパートで、市民運動としてスタートした生ゴミ分別は、筆舌に尽くしがたい道のりであったろうと察します。市民が参加し行政が回収・処理し、農民が使い、使った結果が良いという需要バランスと循環は、まだまだ裵さんの想いに及んでいないと言いつつも、なお情熱を注ぐ姿にうたれました。
帰国直後に、私の住む小金井市で環境基本条例策定委員の市民枠3名の公募があり、応募をすすめられました。今回の視察研修も活かし、応募してみようと論文執筆中です。