【旬の食材】ホウレンソウ
2001年以前のアーカイブ記事です。
シルクロードを旅した東洋種、地中海を渡った西洋種
西アジア原産で、ペルシャで栽培されていたホウレンソウ。東へは「回教徒」の手によりシルクロードを経て中国へ渡りました。西へは北アフリカからイベリア半島をへヨーロッパへと伝えられました。
イタリア・フィレンツェの名門メディチ家からフランスの王家へ嫁いだ女性が大のホウレンソウ好きで、今でも「フローレンス風」と名のつく料理にはかならずホウレンソウが入っています。
日本には江戸時代に中国から東洋種(葉肉が薄く、葉の切れ込みが深い)が入ってきて、昭和の初期までは食べていた主流です。おひたしにするととてもおいしい。一方、西洋種の特徴は葉肉が厚いのでくずれにくく、バターなどでいため高熱の調理に適しています。
ホウレンソウの旬
品種改良や栽培技術が進み、真夏を除き店頭に並ぶようになりましたが、ホウレンソウらしい味が出てくるのは11月から春先にかけてのものです。サラダブームからサラダ用のホウレンソウでシュウ酸(蓚酸)の少ない水耕栽培されたものは1年中手に入るようになりました。
選び方
葉の葉緑素が濃く、肉厚なものを選びましょう。葉が密生してボリューム感があり、根の赤い色の強いものがよいでしょう。ただし、冬以外には根の赤みも薄くなります。
最近は東洋種と西洋種の一代雑種の剣葉系と丸葉系が市場をほぼ独占しています。一年中安定して生産が出来るようになったおかげで調理の用途が広がりました。
女性の味方の優良野菜
各種ミネラル、ビタミン類が豊富なホウレンソウ。ビタミンAは120グラム(約6葉分)も食べれば一日の必要量がカバーできるといわれています。鉄分は生レバーに匹敵。消化吸収のよい食物繊維が胃腸を整え便通をよくします。ヨーロッパでは“胃腸のほうき”といわれているそうです。栽培法にいろいろあり、一年中店頭に出ていますが、季節によって品種や栽培方法が違うため、栄養的には冬ものに軍配があがります(ホウレンソウは夏30日、冬90日で収穫できます)。
その他、ホウレンソウは貧血予防に効果があります。また、体内の余分な塩分を外に出す働きをするカリウムがあり、高血圧の人にもすすめたい野菜です。
シュウ酸(蓚酸)は大丈夫?
ホウレンソウは結石の原因になるシュウ酸が多いといわれます。このシュウ酸はホウレンソウの持ち味であるあの“あく”の成分です。ゆでて水にさらすと溶け出します。よほど大量に食べなければ大丈夫です。
食べごろを間違えている?おいしいのは成熟したもの
出回っているホウレンソウの多くは、じつは若どりされたものだそうです。消費者の好みや出荷規格により、25センチほどのものが主流ですが、実際には35センチ以上に成長したもののほうがおいしいともいわれています。成熟すると栄養成分も濃くなるのですからうなづけます。
家庭菜園をなさっている方はためしてみてください。ただし、花が咲くまで育ててしまうと味も落ちます。
【注】「菠薐(ほうれん)」は唐宋音でネパールの地名。季語では春。